■ ご 挨 拶
_ _このたび、第4回がんと代謝研究会を鹿児島市で開催することとなり、大変光栄に存じます。がんと代謝を中心とした研究について特別講演、一般講演、ポスター発表などを通じて先端的成果の発表と活発な議論ができる会になるようにお世話いたします。がんと代謝研究会は平成25年にがんの代謝を対象としたがん研究の発展と社会への還元を目指して、研究者のコミュニティー形成、より自由な情報の交換、若い研究者の支援などを図るために組織されました。 _第1回がんと代謝研究会は、我が国のメタボロームの聖地ともいえる慶応大学鶴岡キャンパスの先端生命科学研究所で曽我朋義教授が実行委員長を努められて、平成25年10月30日から11月1日までの3日間にわたり開催されました。国内のトップランナーの研究者が一同に集って議論がかわされ、会場は熱気にあふれていました。これにつづく第2回の東京理科大学(江角浩安教授)、第3回の金沢市の石川県立音楽堂(平尾敦教授)と本会は自由でリラックスした雰囲気を保ちながら、毎回先端的発表と熱い議論が交わされ、存在感のある会へと発展してきました。 _がんの遺伝子変異と代謝の変化について同じ次元でとらえた研究は以前はほとんどありませんでした。しかし、この数年がん遺伝子、がん抑制遺伝子の異常が代謝変化をもたらし、がんの悪性化進展、微小環境に関わっていることが、次々と明らかになってきています。一方、代謝変化は細胞環境やエピジェネティックな制御などを介して、腫瘍の形成に関わっています。それらはワールブルグ効果の再確認・IDHの変異体によるオンコメタボライトの産生の発見に象徴されています。さらに異常な代謝変化は治療標的としても検討されています。一方、メタボローム解析など新しい解析手法を用いたがんでの代謝変化の解析からこれまで知られていなかった代謝の流れも次々と分かってきており、がん研究が正常個体での代謝研究への貢献に果たす役割もこれからますます高まるものと予想できます。 _これらの研究成果を俯瞰すると「がん」を包括的に理解する基盤が形成されつつあり、がん生物学が成熟しつつあることが実感されます。Hanahan博士の言った「概念構造と論理的統一性、首尾一貫性を持った科学としてのがん生物学」(Cell,100,57,2000)の片鱗が見えつつあるのではないでしょうか。 _鹿児島での本会の開催を通じて、互いに交流深め、新たなアイデアを芽吹かせ、鹿児島の豊かな自然(火山、海、島、温泉)と食と文化を楽しみ、リフレッシュできる機会を多くの研究者の方々に提供できれば幸いです。皆様のお越しを心よりお待ちしております。 第4回がんと代謝研究会実行委員長 _ |