ご挨拶

第34回日本歯科医学教育学会総会および学術大会

ご挨拶

大会長 松口 徹也第34回日本歯科医学教育学会総会および学術大会
大会長 松口 徹也
(鹿児島大学歯学部長)

 

 

 

 

_皆様は「郷中教育(ごじゅうきょういく)」という言葉をご存じでしょうか?これは江戸時代の薩摩藩で行われていた縦割りの教育方法で、青少年を「稚児(ちご)」と「二才(にせ)」に分け、学問や武道を通して先輩が後輩を指導するものです。郷中教育の導入によって「学び合い」の習慣が生じ、また「剣がだめでも学問で」と、多様な生徒の才が評価されるようになりました。その成果は顕著で、鹿児島市内にある加治屋町と呼ばれる小さな区域から、西郷隆盛、大久保利通、大山巌、東郷平八郎、山本権兵衛などの近代日本の礎を築いた多くの俊英が輩出されました。現代の歯科医学教育を考えるうえでも十分参考になる教育システムだと思います。

_さて、第34回の日本歯科医学教育学会総会および学術大会を鹿児島で開催させていただくことになりました。伝統ある本学会が南九州地方で開催されるのは初めてとのことで、非常に光栄に思います。会場となるかごしま県民交流センターは、西郷や大久保が育った地で多くの史跡がある加治屋町からもそう遠くない交通の便の良いところに位置します。

_今大会のメインテーマは、「歯科医学教育の質の保証―リフレクションとイノベーション」といたしました。現在の歯科医学教育が大きな変換期を迎えていることは相違ありません。しかしただ闇雲に新しい方法を試したり他を真似たりするのではなくて、今まで日本や諸外国で行われてきた歯科医学教育の功績と弊害を見つめ直し、しっかり評価したうえで新しいアイデアを練っていかなければ、医療者教育における質の保証はできないのではないか、という考えから立案させてもらったテーマになります。

_今大会の特別講演は、鹿児島大学前学長である吉田浩己稲盛アカデミー長にお願いしました。稲盛アカデミーは稲盛和夫京セラ名誉会長(鹿児島大学出身)の教育・経営哲学を学ぶために平成17年に鹿児島大学に設置された教育施設になります。吉田先生は大学教育・運営の豊富な経験に加えて、稲盛哲学についての深い洞察力をお持ちの方ですので、今後の歯学教育の方向性や歯科医学界のリーダー育成法についての有益なご提案を頂けるものと思います。

_もちろん、教育講演、シンポジウム、一般演題、ランチョンセミナーも例年通り開催いたします。田口則宏大会実行委員長を中心としたスタッフが多くの有益な企画を立案してくれています。会員と学生の皆様には、多くの演題をご応募いただき、会場での積極的なディスカッションにご参加いただくことをお願いいたします。明治維新をはじめ、鉄砲、キリスト教など、鹿児島は日本史における多くのイノベーションの発信地となった土地です。「郷中教育」を生んだこの地から、歯科医学教育の新しい潮流に繋がるような数多くの提案が生まれることを楽しみにしています。

_四方に豊かな自然を抱える鹿児島は、雄大な桜島をはじめとした多くの観光資源と、芋焼酎、黒豚、黒牛などの食文化に恵まれています。鹿児島にお越し下さる参加者の皆様が、会場外での時間も満喫していただくことを祈りながら、私からの挨拶とさせていただきます。

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